
アスベスト事前調査は、解体や改修工事などを行う際に必要となる重要な調査です。一方で、一定の条件を満たす場合は調査が不要となるケースがあります。
本記事では、アスベスト事前調査が不要となるケースや、よくある勘違い、調査の要否を判断する際のポイントについてわかりやすく解説します。
アスベスト事前調査の概要と義務化の背景
アスベストは、建築物のさまざまな建材に使用されてきた一方、飛散した繊維を吸い込むことで健康被害を引き起こすおそれがあります。そのため、解体や改修などの工事を行う際は、事前にアスベストの使用状況を調査することが義務付けられています。ここでは、まずアスベスト事前調査の概要と義務化された背景について解説しましょう。
アスベスト事前調査とは
アスベスト事前調査とは、工事の対象となる建築物や工作物に使用されている建材について、アスベストの含有状況を確認する調査のことです。設計図書などの書面や現地での目視によって使用建材を確認し、必要に応じて分析調査を行います。
解体工事をはじめ、建築物の模様替えや修繕、建築設備の取り付け・取り外し・修理など、建材を加工したり撤去したりする工事では、アスベストの有無を把握したうえで適切な対策を講じなければなりません。アスベスト事前調査は、工事を安全に進めるための重要な工程の一つです。
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アスベスト事前調査が義務化された理由
アスベスト事前調査が義務付けられているのは、工事によるアスベストの飛散を防ぎ、作業員や周辺住民への健康被害を防止するためです。
アスベストを含む建材を適切な対策を取らずに解体・改修すると、アスベスト繊維が空気中に飛散するおそれがあります。飛散したアスベストは工事に従事する作業員だけでなく、周辺環境や近隣住民にも影響を及ぼす可能性があるでしょう。
こうした健康被害を防ぐため、工事を行う前にアスベストの使用状況を確認し、含有が確認された場合には適切な飛散防止対策を講じることが求められています。
アスベスト事前調査が不要なケース

一定の条件を満たす作業の場合、アスベスト事前調査が不要になることがあります。ただし、一見調査が不要に見えても作業内容によっては対象となる場合があり、注意が必要です。
ここでは、アスベスト事前調査が不要となる主なケースを4つ紹介します。
| 【アスベスト事前調査が不要なケース】 1.石綿が含まれていないことが明らかな材料のみを扱う作業 2.工事対象への損傷が極めて軽微な作業 3.既存の建材を撤去せず、新しい材料を追加するだけの作業 4.石綿が使用されていないことが確認されている工作物の解体・改修作業 |
1.石綿が含まれていないことが明らかな材料のみを扱う作業
木材、金属、ガラス、石、畳、電球など、製造工程で石綿が物理的に混入する余地がない材料のみを扱う作業は、アスベスト事前調査が不要となる場合があります。
ただし、材料の切断や取り外しなどによって、周囲の建材を損傷するおそれがない作業が対象です。具体的には、電球の交換や備品の交換、家具の設置、清掃などが挙げられます。
2.工事対象への損傷が極めて軽微な作業
工事の対象となる建材に極めて軽微な損傷しか与えない作業は、アスベスト事前調査が不要となる場合があります。
一方、ドリルなどの電動工具を使って壁に穴をあけるなど、建材を「壊す」「削る」「はがす」「穴をあける」といった作業を伴う場合は、調査が必要です。
3.既存の建材を撤去せず、新しい材料を追加するだけの作業
既存の建材を撤去せず、新しい材料を追加するだけの作業は、事前調査が不要となる場合があります。たとえば、既存のクロスや床材などの建材を撤去せず、その上から新しい材料を施工する「重ね貼り」などです。
ただし、新しい材料を固定するために既存の建材へビスを打ち込んだり、穴をあけたりする場合は、「壊す」「削る」「はがす」「穴をあける」作業と同様の扱いで、調査が必要です。つまり、既存の建材に一切傷をつけず、接着するだけといった極めて限定的な作業の場合にのみ、アスベスト事前調査が不要になります。
4.石綿が使用されていないことが確認されている工作物の解体・改修作業
国土交通省などの省庁が用途や仕様を確認し、石綿が使用されていないことが明らかになっている特定の工作物については、解体・改修を行う場合でもアスベスト事前調査が不要とされています。ただし、対象となる工作物は限られているため、該当するかどうかは厚生労働省や環境省の資料で確かめましょう。
また、これとは別に、2006年9月1日以降に着工した建築物や工作物は、設計図書などの書面で着工日を確認できれば、現地での目視調査や分析調査を行う必要はありません。2006年9月1日にアスベスト含有製品の製造・輸入・使用などが原則禁止されたため、それ以降に着工した建築物などには、アスベストが使用されていないと判断できるからです。
ただし、詳細な調査が不要であることと、行政への報告が不要であることは別です。着工日の確認は、書面による事前調査を行ったという扱いになります。解体工事で80㎡以上、改修工事で請負金額100万円以上(税込)など、報告の規模基準を満たす場合は、行政への結果報告義務があります。
2006年9月1日以降に着工した建築物や工作物であっても、報告義務の有無を確認しましょう。
よくある勘違い!アスベスト事前調査が不要だと思われがちなケース
「築年数が新しい」「工事の規模が小さい」といった理由だけで、アスベスト事前調査が不要と判断するのは適切ではありません。
ここでは、事前調査が不要だと思われやすいものの、工事内容などによっては調査が必要となるケースを紹介します。
| 【アスベスト事前調査が不要だと思われがちなケース】 1.2006年9月1日以降に着工した工作物 2.小規模なリフォーム 3.部分的な補修・修繕工事 4.DIY(自主施工) |
1.2006年9月1日以降に着工した工作物
2006年9月1日以降に着工した工作物は、アスベストが使用されていないことを確認できた場合、目視や分析などの詳細な調査が不要となるケースがあります。ただし、着工年だけでアスベストの使用有無を判断できるとは限りません。
工作物にアスベストが使用されていないかどうかは、部材の製造年式やメーカーの仕様書などを見なければ判断できません。「2006年以降に造られたから大丈夫」と判断せず、設計図書やメーカー資料などをあわせて確認することが重要です。
2.小規模なリフォーム
リフォームの規模が小さい場合でも、工事内容によっては事前調査が必要です。事前調査の要否は、工事の金額や面積だけで決まるものではありません。
たとえば、ドリルやサンダー、ノコギリなどを使い、既存の建材を「壊す」「削る」「はがす」「穴をあける」といった作業を行う場合は、アスベスト事前調査が必須となります。
3.部分的な補修・修繕工事
部分的な補修や修繕工事であっても、既存の建材を損傷させる作業を伴う場合は、事前調査が必要となるケースがあります。工事の範囲が一部分だけだからといって、調査が不要になるわけではありません。
小規模なリフォームと同様に、ドリルやサンダー、ノコギリなどを使用して既存の建材を「壊す」「削る」「はがす」「穴をあける」場合は、アスベストの飛散につながる可能性があります。工事の規模ではなく、既存建材にどのような作業を行うのかを確認して判断することが重要です。
4.DIY(自主施工)
施主がDIYで工事を行う場合、事前調査の扱いについて注意が必要です。施主自身が行うDIYと、建設業者や職人に作業を依頼する場合では扱いが異なります。
たとえば、施主から「DIYの一部だけ手伝ってほしい」と依頼され、施工業者や職人が有償で作業を請け負う場合は、その工事全体が「請負契約」とみなされ、事前調査・報告の義務が発生します。
「施主のDIY扱いだから不要」と安易に判断せず、契約や作業内容を確認することが重要です。
「みなし」なら分析調査を省略できる?
アスベストの書面調査・目視調査を行ってもアスベストの使用状況が明らかにならない場合は、分析調査を省略し、アスベストが使用されているものとみなして必要な措置を講じることが認められています。
ただし、「調査が面倒だから、すべてアスベストありとして扱えば問題ない」という単純なものではありません。みなしで対応する場合は、アスベストが使用されているものとして、法令に基づく飛散防止措置などを講じる必要があります。
結果として、実際にはアスベストが含まれていなかった場合でも、除去や廃棄物処理などにかかる費用が大きくなる可能性があります。
なお、みなしで省略できるのは分析調査のみで、書面調査・目視調査そのものは省略できません。
アスベスト事前調査が必要か判断に迷ったときは?

アスベスト事前調査が必要か判断に迷う場合は、自己判断で工事を進めるのは避けましょう。調査の要否を誤ると、アスベストを含む建材を損傷させ、飛散につながるおそれがあります。
事前調査を実施せずに解体・改修等の作業を行った場合、石綿障害予防規則第3条違反となり、労働安全衛生法に基づき、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される場合があります。
また、一定の対象工事について、石綿事前調査結果の未報告や虚偽報告を行った場合には、大気汚染防止法第18条の15第6項違反となり、30万円以下の罰金の対象となります。
工事内容や建材の種類などから判断が難しい場合は、アスベスト調査の専門業者への相談がおすすめです。必要に応じて建材の分析調査を依頼し、アスベストの含有状況を確認したうえで、適切な工事方法を検討しましょう。
なお、アスベスト事前調査が不要と判断した場合でも、なぜ不要と判断したのかがわかるよう、根拠となる資料や調査内容を記録しておくことが重要です。
たとえば、工事の対象となる建材に触れないことを示した工事計画や、着工時期を確認できる設計図書など、判断の根拠となった資料を保管しておきましょう。事前調査を行った場合の記録については、3年間の保存が必要とされています。
アスレポなら事前調査から報告書作成までスムーズ

アスベストの事前調査では、現場での確認だけでなく、写真整理やデータ管理、報告書の作成などにも手間がかかります。
「アスレポ」なら、現場で撮影した写真をもとに、評価・分析から報告書作成、必要に応じた分析依頼まで対応しており、事前調査を効率化することが可能です。ここでは、アスレポの主な特長を紹介します。
| 【アスレポの特長】 1.電子小黒板・図面上プロットで現場の作業を効率化 2.導入費・月額使用料が「無料」 3.調査・分析が難しい場合はアプリから専門会社へ依頼可能 |
1.電子小黒板・図面上プロットで現場の作業を効率化
アスレポでは、「電子小黒板」と「図面上プロット」に対応しており、現場でデジタルカメラや紙の図面を持ち歩く必要がありません。
撮影した写真はアプリ上で整理できることから、帰社後に写真を整理したり、PCに情報を入力したりする作業を大幅に削減できます。現場での情報整理から報告書作成までを効率化でき、事前調査にかかる手間を減らせる点が特長です。
2.導入費・月額使用料が「無料」
アスレポは、導入費・月額使用料が無料です。データ量や保存期間にも制限がなく、必要なときだけ利用できます。
アスベストの事前調査や報告が頻繁に発生しない小規模な事業者であっても、コストを抑えて始められます。
3.調査・分析が難しい場合はアプリから専門会社へ依頼可能
アスレポは、アプリからボタン一つで、アスベスト調査分析株式会社へ事前調査を依頼することが可能です。検体の分析が必要になった場合には、アプリに入力した情報がそのまま分析依頼書へ自動反映され、スムーズに分析依頼を出すことができます。
自社での対応が難しい場合でもすぐに代行・分析依頼連携ができるので、安心して事前調査を進められるでしょう。
アスベスト調査の際は『アスレポ』をご活用ください
「アスレポ」は、解体・改修工事に伴うアスベスト事前調査の現場作業からオフィス作業までを支援するサービスです。アプリで記録した現地調査の情報や写真をPC管理ツールと連携し、分析依頼や報告書作成に活用できます。
現地では建材情報や調査箇所を図面上に記録し、撮影した写真とひも付けて管理できます。調査記録はPC管理ツールと連携し、分析依頼書や各種報告書の作成に活用できるほか、GビズIDの「石綿事前調査結果報告システム」への申請に使用するCSVファイルも出力可能です。
現場で記録した情報をそのまま報告業務に活用できるため、帰社後の写真整理や転記作業を削減できます。記載漏れや入力ミスなど、人的ミスの軽減にも役立ちます。
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